デジタル庁、「源内」で国会答弁作成支援AIアプリを試験提供 政府職員約18万人が対象
デジタル庁は10月30日、政府職員による国会答弁案の作成を支援するAIアプリのプロトタイプ版の提供を始めた。同庁の発表や日テレNEWS、日経クロステックの報道によると、政府の生成AI基盤「源内」を通じて約18万人の政府職員が利用できる。
国会答弁の作成は、霞が関で特に負担の大きい業務の一つとされる。議員から質問通告を受けると、職員は限られた時間で質問の趣旨を確認し、過去の答弁や法令、背景資料を探し、正確で過去の政府見解と整合する答弁を書き上げなければならない。同庁は、資料の検索や情報の整理、表記の確認といった定型的な作業に多くの時間が割かれ、答弁の中身を練る時間が十分に取れないことが課題だとしている。
新しいアプリは、質問の趣旨の整理、過去の答弁や根拠資料の検索、答弁案の生成、内容の検証支援を行う。開発には16省庁から公募した実務経験の豊富な職員102名が評価者として参加し、画面構成や機能を試した。寄せられた提案の一部は既に改修に反映されている。プロトタイプ版は第222回臨時国会で試験的に使われ、来年1月からの通常国会で本格提供を始める計画である。
実務への影響
同庁は、このツールが人の判断を置き換えるものではないと明言している。生成AIはもっともらしいが事実と異なる、あるいは根拠のない内容を生み出すおそれがあるため、職員は答弁案を根拠資料と照合し、過去の答弁や政府方針との整合性、表現の適切さを確認することが原則となる。政策判断や答弁内容の確定は職員と関係部局が担い、答弁は大臣らが行う。今回のアプリは、同庁が安全ルールのもとで源内のAIエージェントを政府職員18万人に開放した取り組みに続くもので、福井県が職員5400人に議事録AIを導入し434時間を削減した事例のような自治体の動きとも重なる。
国会答弁の準備による深夜までの勤務は、長年にわたり公務員の負担となってきた。読売新聞は、このアプリを長時間労働の是正に向けた取り組みの一環として報じた。本当の試金石は、人による確認作業を含めても時間の節約になるかどうかである。
今後の焦点は、試験提供で出力の品質や削減できた時間について何が明らかになるか、1月までにどのような改善が加えられるか、そしてAIが答弁作成を補助した場合の記録について各省庁がルールを設けるかどうかである。