インフラ

日立、GPU冷却用コールドプレートを開発 AIデータセンターの冷却電力を30%削減へ

· 約6分で読了 · インフラ

日立、GPU冷却用コールドプレートを開発 AIデータセンターの冷却電力を30%削減へ

日立製作所は10月21日、次世代AIデータセンターの冷却に必要な電力を30%削減できる見込みのGPU冷却用コールドプレートを開発したと発表した。試作品は、冷却液をチップの表面に沿って流すのではなく、最も発熱する部分へ向けて直接送り込む独自の「U字トンネル流路」構造を採用している。

従来のコールドプレートでは、冷却液がGPUの面に沿って流れる間に温まるため、流路の後半ほど温度の高い液がチップに届くという課題があった。日立の設計では、数千本の微細な流路をプレートの厚み方向に多並列で配置した。冷却液は発熱部の近くまで進んで熱を吸収した後、U字型に折り返して出口へ向かうため、冷たい液と温まった液が混ざらない。個々の流路が短いため摩擦が小さく、圧力損失、ひいてはポンプ動力の増加を抑えられる。

同社によると、冷却液流量が毎分4リットルの条件での実測で、試作品は熱抵抗0.011 K/W、圧力損失27.6 kPaを示し、同じ冷却動力で従来構造より高い冷却性能が得られた。業界では、45℃程度の冷却液を使う高温水冷却への関心が高まっている。温度の高い冷却液でもGPUを所定の温度以下に保てれば、電力を多く消費するチラーに頼らず、より多くの熱を外気へ直接放出できる。

実務で何が変わるか

日立、GPU冷却用コールドプレートを開発 AIデータセンターの冷却電力を30%削減へ(イメージ写真)

30%という数字は実測値ではなく試算である。日立は、東京など代表的な都市の外気温度条件を用いて、年間のチラー稼働率の変化から算出したもので、条件によって結果は異なるとしている。同社は今後、コールドプレートをポンプ、チラー、配管と組み合わせ、デジタルサービス「HMAX Data Center」による統合制御の下で発展させる計画だ。成果の一部は、米国機械学会(ASME)が10月26日から29日まで米サンディエゴで開くInterPACK2026で発表する予定である。

電力は、日本のAIインフラ整備における制約要因になりつつある。NTTが大阪で検討するAnthropic向けの中核データセンターやシャープによるFoxconn製AIサーバーの国内受注は、GPUラックの高密度化が進むことを示している。日立自身もファナックと組んだ工場向けフィジカルAIに乗り出している。

今後の焦点は、試作品が製品化へ進むかどうか、既存のコールドプレートと比べたコスト、そして日立が前提とした気候条件以外の実際の施設で、事業者が30%の削減効果を確認できるかどうかである。

← AI4Japanトップへ戻る