スタートアップ

ナレッジワーク、融資枠を含む48億円のデットでシリーズCを完了 セールスAIエージェントを強化

· 約6分で読了 · スタートアップ

ナレッジワーク、融資枠を含む48億円のデットでシリーズCを完了 セールスAIエージェントを強化

東京都港区のナレッジワークは10月23日、シリーズCラウンドの2ndクローズとして、融資枠を含む総額48億円のデットファイナンスを実施したとPR TIMESで発表した。1stクローズの第三者割当増資による35億円と合わせて同ラウンドが完了し、累計エクイティ調達額は97.4億円、融資枠を含む累計デット調達額は64億9000万円となった。

融資元はみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行、商工組合中央金庫、静岡銀行、福岡銀行である。麻野耕司CEOが率いる同社は、調達資金を戦略的投資に充て、顧客向けセールスAIエージェントの構築・運用を強化するとしている。

2020年に設立された同社は、SaaSからAIカンパニーへとビジネスモデルを転換した。現在は、顧客の営業業務に合わせてAIエージェントを構築・運用する「セールスAXコンサルティングシリーズ」、標準的な営業業務向けのAIエージェントを素早く提供する「セールスAIプロダクトシリーズ」、精度の高いAIエージェントを支える基盤「セールスAIエージェントOSシリーズ」の3つを展開する。NTTドコモビジネス、みずほ銀行、日清食品など、主に大手企業が数千人規模で導入している。

実務で何が変わるか

ナレッジワーク、融資枠を含む48億円のデットでシリーズCを完了 セールスAIエージェントを強化(イメージ写真)

注目すべきは資金調達の組み合わせである。追加のエクイティではなく銀行融資を使えば、既存株主の持ち分の希薄化を避けられる。3メガバンクと地方銀行が名を連ねたことは、法人向けAIの継続的な収益を金融機関が融資の裏付けとみなし始めたことを示唆する。人手不足が進み、報告書や提案書の作成、フォローアップといった手作業の負担が重い日本では、営業はAI活用の自然な対象である。今回の動きは、NTTドコモビジネスが200超のAIアシスタントを各部門に展開した取り組みや、住友生命が営業職員向けにAIで個別最適化した保険提案を計画している動きなど、企業全体の流れとも重なる。

一方、期待がどこまで成果に表れるかはまだ見えない。ナレッジワークはエージェント導入による売上や生産性のデータを公表しておらず、営業向けエージェントの成否は顧客データの整備状況や、営業担当者がシステムの提案を信頼するかどうかに大きく左右される。

今後の注目点は、大手顧客での具体的な効果が開示されるか、エージェントOSがコンサルティング案件以外にどこまで広がるか、そして新たなエクイティではなく銀行融資を選ぶ国内AIスタートアップが増えるかである。

← AI4Japanトップへ戻る